　「たちぎれ線香」の　完成品 - 「ちりとてちん」徹底解剖ブログ

まさに、正典＆糸子のロマンスを
ほうふつとさせる　落語「たちぎれ線香」ですが。
これ、「たちきり」、あるいは「たちきれ」という名称で、
言い表されることも　ございます。
ＣＤを探すのに、お間違いなりませんよーに。

１月22日ブログでは、桂吉朝さんの東芝ＥＭＩ盤を、ご紹介いたしました。
→　ついに出たな「たちぎれ線香」 - 「ちりとてちん」徹底解剖ブログ
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吉朝・盤が、正確なコントロールをもって、
140キロ台の直球を、ビシビシと　小気味よくキメる
広島カープの北別府学・投手とすれば。

上方落語四天王のひとり　桂文枝さんのソニー盤は、
出どころのつかめない投球フォームから
多彩な変化球を繰りだし
緩急自在に、バッターを翻弄する
広島カープ時代の　江夏豊のような　ディスクです。

ストーリーについては、NHK「ちりとてちん」のHP
「上方落語　よろず指南」にのってます　→　http://www3.nhk.or.jp/asadora/topics/06_rakugo/no12.html

この落語の主人公は、若旦那なのですが。
前半にて、お茶屋遊び（芸者遊び）を意見する　番頭と、
後半にて、芸者・小糸の最期を回想する　置屋のおかみさんが、
そうですねぇ。

映画『スター・ウォーズ』でいいますと。
若旦那が、運命に翻弄されるルーク・スカイウォーカーで、
番頭さんは、酸いも甘いもかみわけた　ダース・ベイダー！
おかみさんが、賢人にして騎士のオビ＝ワン・ケノービ。

ちなみに、芸者・小糸は、レイア姫。
Ｃ−３ＰＯは、丁稚さん役で出てきますが、
ハリソン・フォードのファンには残念なことに、
ハン・ソロは、でてきません。あしからず。

その文枝さんのソニー盤ですが。
ダース・番頭は、コワいのなんのって。
すごい、迫力で、ど真ん中に、ズシン！
対して、オビ・ワン・おかみさんは、
世界中の無念が集約したような、
泣かせ節で、フワァァァァ〜っと。
この緩急の差が、お見事。

吉朝・盤は、ライブ録音でしたが、
文枝・盤は、スタジオ録音。
それだけに、後世に残る完成品を、と、
ことばの隅々にまで、緊張感がみなぎっております。
星取り表では、「初心者向け」を、低くつけましたが、
なんとなく流して聴く　という音源ではなく、
マクラなしの　長講１席　32分間、
居住まいを正して、文枝師匠の芸に立ち向かう、
そんな、完成度の高い１枚、という意味です。