地球滅亡の日(その7) 三遊亭金馬の「雑俳」

ちりとてちん」徹底解剖ブログの
棹尾(とうび = 最後)を飾る 超大型企画!


地球滅亡の日、
遠藤マメ太郎は、どの落語を聴きながら、
東京・新宿にあった「三笠会館」(すでに閉鎖)の
ペペロンチーノに 舌鼓(したつづみ)をうった
その生涯を 終えようとするか!
→ 地球滅亡の日、「寿限無」を聴くか? - 「ちりとてちん」徹底解剖ブログ


三遊亭金馬さん(1894年〜1964年)
先代です、三代目。
いまの金馬さんは、四代目で、
ナッチョコ、ジャムンチョ ですね
(↑ ですよね?)。


金馬さんといえば、なんてったって、
「薮入り」(やぶいり)です。

NHK落語名人選(5) 三代目 三遊亭金馬 孝行糖・薮入り

NHK落語名人選(5) 三代目 三遊亭金馬 孝行糖・薮入り

泣けます。
だけど、地球滅亡の日には、
しみじみ しすぎちゃいます。


そこで、「雑俳」をピックアップしました。
「ざっぱい」 と読みます。
[rakuten:book:11598182:detail]
厳密に説明すると、かえってわかりにくくなるので、
「俳句 や 短歌」のこと、としちゃいましょう。


八っつあんが、ご隠居さんをたずね、
あれこれ、歌を詠むのですが。


春雨(はるさめ)については、
「船底を ガリガリかじる 春のサメ」


鳥のメジロについては、
「池袋 降りそこなって、目白まで」
東京の山手線の駅のことです。


初雪については、
「初雪や これが塩なら、金もうけ」


八っつあんを あなどることなかれ。
たんなるアホでは ありません。
すごい語感と
ストレートな欲望を 有し、
次から次へと 変化球を繰り出します。


後半は、ご隠居さんの雑俳仲間がくわわり、
句の品評会となります。
これが、なかなか いいことば遊びで ございまして。


感心するのは、
獣(けもの)読み込みの 狂歌です。


「ポンポンが痛いと ウソを月の夜(よ)に
 鼓(つづみ)の稽古 休む 子ダヌキ」


ウソをつく → ウソを月の夜に。
お腹と 鼓の音を かねている「ポンポン」。
そしてバックグラウンドになっている
証城寺(しょじょうじ)の タヌキばやし伝説。


いやぁ、昔のひとは、
ヒマだったから、
ヒマを つぶすために、
シャレた ことば遊びを
次から次へと ひねり出したんでしょうね。


でも。ですね。
ひとつ、疑問あり。
なぜ、「鼓(つづみ)」なのでしょうか?


「ポンポンが痛いと ウソを月の夜(よ)に
 太鼓(タイコ)の稽古 休む 子ダヌキ」


タヌキのタイコっ腹 ゆうくらいですから、
この方が、ぴったりしますし、
ポンポンと タイコ腹も 直結します。
「太鼓」と「子狸」と、見た目にも良し。
なぜ、鼓なのでしょう。


それとも、
ダヌキは、タイコを叩き
まだメタボではない子ダヌキは、鼓を打つ
という伝承が あるのでしょうか。
地球滅亡の日に、もう一度だけ
考えてみます。


なお、「NHK落語名人選」シリーズ(ポリドール)に
同時収録されています
落語「一目上り」(いちもくあがり)。
こちらも、ワンダホーな
ことば遊びで、
感心も 得心もします。


「雑俳」は、痛快娯楽小説なら、
「一目あがり」は、精緻をきわめた芸術品
といった趣です。