サイコロとばく これなら勝てる?


おととい(2月20日)放送分で、オチ研出身の勇助クン(辻本祐樹)が、
持ちネタのひとつとして 挙げていました「看板の一」。


「カンバンのピン」 と読みます。「一」と書いて ピン。
ピンからキリまで のピン。
♪ 私がぁ、捧げた あの人にぃ〜 でおなじみ 「ぴんからトリオ」 のピン。
いやいや、冗談や ありません。
「ピンから トリを」。 
つまり 今は 新人でトップバッターをつとめてるけど、 
いずれトリをとれる大物に なったる とゆうんで、命名されたんですって。
語源は、ポルトガル語の「pinta」で、「1」のこと。
「first」 「最初」 「一番」 という意味ですね。




こんなストーリーでしゅ。
バクチ好きの若者・ 浜田くん(仮名)が、
親分格の 金丸・老人(仮名)に、サイコロ勝負を 挑みます。
ならばと、金丸老人は ツボをふりましたのですが、
すっかりおボケになっているようで、
サイコロが、ツボからはみだして、「1」の目が見えてる。


浜田くん「ええんこ? ピンに 有り金ぜんぶ賭けるで」
金丸老人「ほうこ。ほなら 勝負! その前に、看板のピンを、ひっこめんと」


金丸老人は、ボケたフリして、ピンに賭けさそうと、
隠しておいたサイコロを、さり気なく 置いていたわけでしゅ。
こりゃ、いいこと憶えたと、浜田くん、さっそく、帳場でマネしてみますが……。


これも、生半可で憶えた必殺技を、再現しようとして
無惨に討ち死にする 「お替りもの」の1席。
メインストーリーだけなら、5分間ちょい なので、
バクチにまつわる落語の マクラとして使われることもございます。


その昔、テレビで見た柳家小三治さんの1席が、とても記憶に残ってます。
親分が、看板のピンをしまったあとに、
「オレの見るところ、中の目は、グ(5)だな」 っちゅうところ、えらく印象的でした。


残念ながら、小三治さんのCD盤は、なし。
それどころか、ヤフー・ショッピングで検索しても、桂米朝さんの東芝EMI盤しか、見つかりません。
[rakuten:rakugo:685219:detail]
マクラもあわせて、わずか11分間の 小品でございます。


桂米朝「看板の一」のオススメ度(☆5つが満点。★は、0.5点)
ストーリー  ☆☆★
爆笑度    ☆☆★
初心者向き  ☆☆☆


堀井憲一郎さんの「いま ここにある落語」ランクでは、
33位(28回)にランクされております。
ツボふりとか、ボケたフリなど、所作でも笑わせられ、
15分間でも、タップリと聴かせられるとあって、ナマの寄席には、ピッタリの落語なのでしょう。


ほかにも、サイコロ賭博が出てくる落語に、「たぬき」という 1席がございます。
こちらは 「看板の一」での必勝法を 格段にバージョンアップさせた すぐれモノ。
いずれ、機会がございましたら。