本日は、落語ネタが てんこ盛


本日18日放送分には、吉野家の特盛のごとく
落語ネタが、てんこ盛でした。
確認でけた だけで、3席。
駆け足で、紹介いたしましょう。


(1番 高津の富)


まずは、すでに先週、ご紹介した「高津の富」。
この1席には、メインストーリーとは別に、
脇役ながら、特大級に盛り上げてくれる
お調子者が 登場いたします。


仮に 宝くじマニアの 小次郎さんといたしましょう。
この小次郎さんが狙うのは、2番の富(2等賞)。
なんでも、夢枕に神さまが あらわれて、
「今年の 高津の富の 2番は、お前に やるっ」。
で、当選ナンバー発表とともに、自分の札番をコールします。


「辰(たつ)やろ!」→ 「辰のぉ」
「八百かぁ」    → 「八百」
「五十か?」    → 「五十」
「しち番かぁ!」  → 「イチバーン」。
ガク、ってわけです。



(2番 くやみ)


さて、その次に 控えしは。
草若師匠(渡瀬恒彦)ともに、
上方落語四天王の一角をしめる
万柳亭柳宝(林家染丸)が、弟子一堂に向かって
「このたびは……、まことに……、ホンマに……」。
ムニャムニャと、言いかけてから、


「四天王のひとりが死んだら、
 その葬式で、『くやみ』のネタ やって
 みんな笑わすって 言ってたけど、
 そんあこと、できるかいな」。


これは、その名もずばり「くやみ」という落語。
祝いごととは違って、通夜・葬式の席では、
挨拶が、とても ディフィカルト。
喪主側は、力を落としているわけですから、
ハキハキした物言いしたら、あかん。
なるべく 何を言ってるかわからんせな あかんけど、
最初のひと言だけは、ハッキリゆう。
定番のワンフレーズは、「なんと申し上げてよろしいやら」
ムニャムニャといいかけて、首を横に振ってから、タテにふる
これが、くやみの極意だと ゆうわけです。


草若や柳宝たち、上方落語の戦友たちは、
四天王の誰かが死んだら、
そんなんを、仏壇の前でネタにして、
「泣くんじゃなくて、笑いとばそう」と、ゆうてたけど、
さすがに悲しすぎて、ようけ でけん、
というわけなのです。



(3番 死ぬなら今)


さてドンジリは。
ドラマでは、もし1億円の宝くじが当たったら、
「棺桶(かんおけ)に、入れるわ」
「そんなことしたら、かえってバチがあたる」
「あの世でも、カネがいるさかい」と、
議論百出しまして、
土佐屋尊徳(芝本正)が、「ニセ金 入れといたら?」
すると草々が、
「師匠! 落語のネタやないですから、もう!」。


落語「死ぬなら今」は。
大店の旦那が、死んじゃって。
親類一同、ホンマもんの小判を棺桶にいれるんは、
もったいないと、
ニセモノの小判を 入れはります。
旦那は、地獄で、袖の下(ワイロ)として使うのですが……
という 1席でございます。


落語のタイトルゆうのは、本来、
寄席のせきで、前の演者がやった演目と
重ならないように、
「私は、このネタをやりましたよ」と、
落語家同士の間で、ネタ帳に書き記した 符丁でした。
だから、簡潔にして明快。
つまり 素っけないもんが、多いのですが、
この「死ぬなら今」は、最高級タイトルと言えるでしょう。


うまい具合に、
この「くやみ」と「死ぬなら今」がカップリングされた
ディスクがございます。
三代目・桂文我さん(昭和8年〜平成4年)の
「ビクター落語 上方篇」です。
軽妙にして、雲のようにフワフワっとして、
スっと胸にはいってくる なじみやすい話芸です。
上方落語は、クセがあって、ちょっと
というムキには、絶好のディクスです。

桂文我(3代目)(5)

桂文我(3代目)(5)