菊江仏壇は、駄作?(その1)


緑魔子さんではのうて、キムラ緑子さん扮する
仏壇屋の菊江さんですが。


これは、「菊江仏壇」(きくえ・ぶつだん)という落語から、
命名されておるわけです。
この噺、あまり高座にかかりません。


なぜ、なぜ、なぜ、どうしてなのぉ?
桂米朝 上方落語大全集 第四期』(CD10枚組・2万円)
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にての 米朝さんご自身の解説によりますと、


・ 登場人物が、やたらに多く
・ 大旦那から、番頭、奉公人、芸者など多岐にわたる
・ また 酔っ払いや クセ者もでてくるし
・ ひとりのセリフ量が とっても多い


と、さまざま理由を列挙した後に でんな。


「しかし なんといっても この噺の難しいという
 一番の大きな原因は、この作自体が、
 『たちぎれ線香』のような名作ではないということです」


こうハッキリいわれちゃ。
つまり、あまり筋のいい噺では、ない。
かっこよくいえば、ピカレスク・ロマンですが、
要するに、主人公である若旦那が、あまりに悪いやつで、
とっても 後味が悪い ちゅうことです。


ストーリーは、ですね。
「実家で闘病中の 妻の臨終にさいして、
 義父である大旦那は、お見舞いに出向くものの、
 若旦那は、家に芸者を呼んで
 奉公人あげて、ドンチャン騒ぎをする」。


タイトルは、ですね。
嫁のお見舞いに行っていた大旦那が帰宅し、
大慌てで、菊江という芸者が、仏壇の中に隠れる
というラストに 由来しております。


本筋は、非道な行為のオンパレードですし。
全体も、各パーツが独立して、関連性がない。


(1) 若旦那と妻の なれそめを回想する
(2) 番頭の素性が 暴かれる
(3) 酒宴の準備
(4) 芸妓・菊江を呼びにやる
(5) 大荒れの酒宴
(6) 大旦那の帰宅
(7) 菊江、仏壇に隠れる


各場面が、ゴツゴツととがって、
ストーリーが、流れるようには 運ばないのです。(続く)