枝雀マジックにかかると


12月20日(木)のブログ 「座布団」フェチに秘められた…… - 「ちりとてちん」徹底解剖ブログで、「本日放送分には、2席の上方落語が織りこまれていました」とお伝えしました。うち1席は、「猫の忠信」(「ゴロニャン」と子ネコが、恋しがる - 「ちりとてちん」徹底解剖ブログ参照)です。もうひとつは、「阿弥陀池」(あみだがいけ)という滑稽ばなし(こっけいばなし)でございます。


第70回目の冒頭シーン。居酒屋「寝床」でいつもの連中が、町内のうわさ話をサカナに酒のんでます。横丁のオッサンのギックリ腰は全治3日間など、町ネタにやたら詳しい床屋の磯七さん(審査員。平成19年度 NHK新人演芸大賞 - 「ちりとてちん」徹底解剖ブログを参照)が「なんでも知ってるんやなぁ」とべんちゃら言われると、「わしゃ、町内で知らんことないからな」とエビス顔。
でも、熊さん(キム兄ぃ)が仕入れてきた「草々、破門」のビッグニュースを聞くと、飛び上がって、仰天ビックリします。


これが上方落語阿弥陀池」の導入部分を、そっくり踏襲しておりまして。落語の方も、道化役は、「この前、生まれた子ネコは何匹で、どこそこにもらわれた」まで知っていると自慢する粗忽者(そこつもの)です。


落語では、この男をからかってやろうという強敵がおります。あわれ、この粗忽者は、「近所の米屋に、強盗が入って、主人が殺された」というウソを吹きこまれ、ああ悔しい。これは、誰かを騙し返さな、腹の虫がおさまらんと、よその家でそのニワカ(冗談)を披露します。ところが、運悪くその家には、親しい身内が米屋に奉公していて……。こんなお話でございます。


まぁ、「マネして失敗する」型の噺ですから、マネの失敗ぶりが噺のできを大きく左右します。桂枝雀の1席は、いかがでございましょうか?
たとえば、強盗が突進してきて「体(たい)をかわす」とマネするところ、「体(たい)」ということばが思い出せずに、「エビスさんが持ってる → 釣りざおの先についている → 針の先についている → エサにくらいつく → 鯛 → ああ、タイや」。


文字に起こすと「なんですか」と四草くんに冷笑されそうですが、これが枝雀マジックにかかると!


桂枝雀阿弥陀池」のオススメ度(☆5つが満点。★は0.5点)[rakuten:book:11618638:detail]

ストーリー ☆☆☆
爆笑度   ☆☆☆☆★
初心者向け ☆☆☆★