「嵐の予感」ただよう12週目


2007年12月17日(月)。第67回『ちりとてちん』。
第12週目「一難去って また一男」の初回です。
演出は、菓子浩さん。
「かし・ひろし」とお読みするのでしょうね。
石原軍団の……、それは、「たち・ひろし」でしょ。


あと12月放送分の2週間で、
半年間のドラマも、
折り返し点を迎えることになります。
このところ、ちょっと停滞気味と感じておりましたが、
「おお、これぞ連ドラの王道」と
拍手喝采したくなる
12週目の幕開けとなりました。


B子(貫地谷しほり)が入門した1993年から、
2年の月日が流れ去り、
いきなし、1995年の夏。


「寝床寄席」も、回を追うごとに好評をはくし、
ついに5夜連続の一門会には、店の外まで
見物客があふれる大賑わい。
そんな居酒屋「寝床」での打ち上げ会に、
ヌっと現れたのが、
天狗芸能の鞍馬・会長(竜雷太)でした。

ふてぶてしい風貌と高圧的な物言いながら、
要は、
半年さき、12月25日の夜7時から、
天狗座で徒然亭一門会を開く(!)と。


スカっと爽やかコカコーラな口開けですが、
ここからが脚本・演出のうまいところ。


鞍馬会長を追って、小草若(茂山宗彦)が
路上で礼を述べたのですが、
「誰や、あんた?」。
コワ。


謎めいた無視に、覆いかぶさるよーに、
浪花の主婦代表が、
「一門会を前に、草々にいさんが一門を離れるなどどは、
夢にも思うておりませんでした」。
なななな、なんと。
草々(青木崇高)が!?
ホンマかいな? ホンマでっしゃろな。


11週目「天災は忘れた恋にやってくる」において、
展開が、かったるかったのは、
一連の草々とA子(佐藤めぐみ)の交際もようが、ダーっと続き、
それを、B子が追いかける
「単調な流れ」にありました。
ピアノソロでいえば、
右手で、同じ旋律を延々と弾いていたんです。


しかし本日放送分は、といえば。
まず、「徒然亭一門会が成功するか」という
導入のメロディラインを、
右手で力強く演奏しはじめました。


と、同時に、
「鞍馬会長は、小草若をなぜ無視した」、
「草々が、徒然亭一門を離れる」
といった個別エピソードを、
和音や装飾音として、響かせています。


映画『アマデウス』でも、
サリエリが弾いた単調なメロディを、
神童モーツァルトがアレンジすると
まったく別の曲に聴こえる
というシーンがありましたよね。


これと同じで、
モーツァルトのピアノソロが、
気持ち良―く、聴こえるのと同じように、
12週目の「一難去って また一男」は、
ドラマに、ワクワク感と分厚さが
浮かびあがってきそうです。


なんとも興味をもたせる
あと2週間(年内まで、ですよ)が
スタートしたもんじゃ、
ございませんか。