上方落語の四天王(その2) 桂文枝


さてさて。
昨12月15日に続く、
昭和「上方落語の四天王」実録シリーズ。


六代目・笑福亭松鶴(しょうふくい・しょかく)師匠につづく
第2回目は、


桂文枝・師匠です。
かつら・ぶんし。
1930年生まれ、2005年死去。


まずはドラマ「ちりとてちん」ですっかり
おなじみになった「愛宕山」(あたごやま)を収録した
CD(ソニー盤)のジャケットをご覧あれ。

桂文枝3 「天神山」「愛宕山」

桂文枝3 「天神山」「愛宕山」


誰かに似てはりませんか?
料理人・神田川はんに。


それで、ですね。
文枝・師匠。
私・マメ太郎ごとになりますが、
上方落語・四天王の中で、一番好きやった落語家さんです。
聴きはじめたころの芸名は、
「小文枝」(こぶんし)でして、
かえって
文枝・師匠」(ぶんし・ししょう)とゆわれても、
ピンときません。


文枝師匠のよさは、


はんなり
やわらか
まろやか


将棋で申しますと、(どんな意味あんねん?)
山九段や藤井九段とは正反対。
谷川九段や、羽生さんとも違う。


関西将棋連盟所属の山崎隆之・七段。
どうだ!
中盤の柔らかい手順、
対局場にあらわれただけで、パっと四方八方がにぎわう華やかさ、
などなど。
ぴったしカンカンでしょ。( ← わからんて)


それはともかく。
我の強い上方落語界にあって、
「新婚さんいらっしゃい」の三枝さん、
「首ふり機能のこわれた扇風機」の文珍さんなど、
個性派ぞろいの弟子たちを率いる総帥ながら、
ご自身の芸風は、
「そよそよ、そよー」
「にゅんわり、ふんわり」。


「なめらかプリン」みたいに、
とろけちゃうんだな、これが。


推薦ディスクは、「軽業講釈(かるわざこうしゃく)」。
「ええ?」「なんで?」と思われるのは承知の上。
1980年、東京・文京区の「三百人劇場」でのライブ盤です。


まだ東京での上方落語の認知度が低かった
30年近くも前のこと。
文枝(当時は、小文枝)師匠は、
三百人劇場」にて、連続独演会を開きました。


収録盤は、記念すべきその第1回目。
東京の観客を前に、口開けとあって、
「なるべく、上方らしい落語をご案内いたしましょう」と、
この噺をもってきた意図を紹介しています。
上方での落語の成り立ちから、
拍子木、鳴り物といった
上方落語の特色も、
懇切丁寧に説明してくださっております。


前回、ご紹介した松鶴師匠が、
おっかない大阪のおっちゃんが
迫力もってせまってくるとすれば、
文枝師匠のは、船場の旦那さんに、
やさしく諭されているよう。

桂文枝1 「軽業講釈」

桂文枝1 「軽業講釈」



桂文枝「軽業講釈」(ソニー盤)のオススメ度(☆5つは満点。★は0.5点)
ストーリー    ☆☆☆
上方落語らしさ度 ☆☆☆☆☆
初心者向け    ☆☆☆


阪神ダイガースでいうたら……、
牛若丸・吉田、でどうでしょうか?。
後身を育成したという点でも、
これ、よろしゅうございませんか。