「茶金」とも いいます


今週22週目のテーマ落語は、「はてなの茶碗」。
ドラマで若狭(貫地谷しほり)が、
上方落語、屈指の大ネタやさかい」ゆうてました。


それにしても。糸子はん(和久井映見)の
「アンタは、やらんのけ?
 ほら、そうして すーぐ、あきらめるぅ。
 それがアンタの いかんとこやぁ」


この言い方の 憎たらしいことといったら。
実際に、こないなこと ゆわれたら 超ムカツキそうですよね。
語尾を 伸ばすのが 特徴なのですかね。


で、「草々にいさんかて、高座にはかけられん、て」と、
ナイスな返答を かえしたでござりまするが。
それほど
はてなの茶碗」は、むずかしいか?
そう 思いますよ。
やったことないから、わかりませんけど。


前半は、「油屋 対 茶店のあるじ」が 押したり引いたりで、
やがて、「油屋 対 茶金さん+番頭」との 真剣勝負になるわけです。
前半は、会話のオンパレード。


そして 後半は、「地の文」と申しましょうか。
演者が、「神の視点」に立ち、
な〜んでもない 茶碗をめぐって、
皇族・公家・茶道具屋が、入れかわり立ちかわる様子を、
トントントンっと、テンポ良く運ばなければなりません。


また そもそも「ありえない展開」ですけど、
大げさにやりすぎても ウソっぽいし。
地味に やったら論外。


で、初心者の方にオススメしたいのが、
上方落語じゃないんですけどぉ。
はてなの茶碗」は、別名「茶金」と称することもございまして、
古今亭志ん朝さんの「茶金」ライブ盤(ソニー)です。


志ん朝バージョンは、「おとぎ噺」とでも申しましょうか。
フワフワっとしながら スーっと 物語に引きこんでくれる。
なにゆってるのか 自分でもよくわかりませんが。



本場・上方版では ですね。
桂枝雀さんのが よろしいでしょう。

こちらは、油屋さんの心理描写が、素晴らしい(すんばらしい)。
偶然ですが、「鉄砲勇助」とのカップリングです。


志ん朝さんが、天空から フワっと物語をつかんでいるとすれば、
枝雀さんのは、登場人物になりきった演者が
ドタバタアタフタしながら、刻々と時間が進行する
そんな違いが、あるといえましょうか。
ああ。うまく ゆえないのですけど。


で、ですね。
この2ディスクを聴きくらべて興味ぶかいのは。
志ん朝さんのは、すっきりトントン系
枝雀さんのは、ねっとりドタバタ系なのですが。
どっちが 爆笑度 高いと思いますか?
マメ太郎の印象ですが、
これが意外にも 志ん朝さんの方なのですよ。
ともにライブ録音なのですが、観客席のわき具合も そう。
抑制されたひと言、ちょっとした会話の間に、ドっとわくのです。
いやぁ、落語って、奥がふかい。