どうしちゃった 和久井映見


2008年1月5日(土)、第79回『ちりとて』。
ありがちな 展開なのに。
なぜだろう……。


若狭(貫地谷しほり)と 草々(青木崇高)の結婚式、
無事、すむわけなくて。


奈津子さん(原沙知絵)は、
草原にいさんの奥さん(押元奈緒子)に、
「肉じゃが女」の 匂いをかぎ、
敵意まるだし。


居酒屋「寝床」と 魚屋食堂の
料理人のプライドをかけた 真剣勝負あり。
友春(友井雄亮)が、順ちゃん(宮嶋麻衣)に抱きつき
魚屋食堂パパ(久ケ沢徹)は、激怒。


小梅さん(江波杏子)が
遠路はるばるスペインから
駆けつけても、
「主役の座が奪われちゃった」と、
若狭は、不満げ。


でも、滑りこみセーフで間に合った
菊江さん(キムラ緑子)をはじめ、
よりによって1月3日
わざわざ祝宴に駆けつけてくれた
ぎょうさんの人に、
「感謝せな」という
お母ちゃん(和久井映見)の
ひと言で、ちっといいムードになりました。


ありがちで展開でしたが、
まず物量で勝負。
これでもかと、ジェットコースターにのせて、
ポンと、急停車。


加えて、
和久井映見が、うまいわ。
ちょっと時代がかったセリフを
てらいなく、言い切れる その心根が、
ちゃーんと伝わって参りました。
どうしちゃった! 和久井映見
菱沼聖子(「動物のお医者さん」です)の時は、
こーじゃなかった。
ぜひ、三谷幸喜の芝居で、
見てみたいものです。


2007年と2008年をジョイントさせる
扇の要(かなめ)のような結婚式を、
昨日・本日と、たった2回で、
パシっと提示した「演出 伊勢田雅也」。
強引で、
ゴルフでいうたら、決して刻まずに
果敢にグリーンを狙う
タイプ、でしょうか。
カット割は、かなり刻んでますけど。



さてさて。
正月に、結婚式と、めでた続きですから、
やっぱり 正月にちなんだ落語を1席。
しかも、珍しい演者で。


平成11年に、日本クラウンから、
春團治 三代」シリーズというCD集が
出ておりました。
その14集に収録されておりましたのが、
「正月丁稚」(しょうがつ・でっち)。
演者は、初代・桂春團治(はるだんじ)。
都はるみ「浪花恋しぐれ」で
ドアホウと称されております
あの春團治明治11年〜昭和9年)でございます。


収録は、大正10年代から昭和初期。
でも、まずまず、音源は、いいというか、
許せるというか、です。


「正月丁稚」は、
正月やさかい、めでたく、
ことばづかいも品よくしようとする
商家でのドタバタ劇でございます。
でも、本性やら、
野生の雄たけびが抜け切れないのは、
若狭の結婚式と同じ。
中には、つい、縁起の悪いこと言うて、
ダンナさんの機嫌がそこねたり、
と、短いエピソードが次々に
繰り広げられます。


ことば遊びが、唯一にして最大の
聴かせどころでございます。
正月そうそう、雨が降ってきて、
ショボンしているダンナさんに、
「降る(鶴)は千年、雨(亀)は万年」。
こんな当意即妙で切り返す
知恵者がいたりして。
たんなるシャレの域を 超えてますです。


初代・桂春團治「正月丁稚」のオススメ度(☆5つが満点。★は0.5点)
ストーリー   ☆☆☆★
爆笑度     ☆☆☆★
初心者向き   ☆☆☆


こちらは廃盤ですので、
参考までに、
初代・春團治の肉声を収めた現役盤を、
挙げておきます。

コロムビア至宝シリーズ SP盤編 初代 桂春団治

コロムビア至宝シリーズ SP盤編 初代 桂春団治