2008年版 「ピパ問題」


はっきりゆって。
これ、面白くないです。
読まない方が、いいかも。
あまりにも、まとまりないです。
と、前置きしつつ。


2007年の年末、ブログで提起いたしました
「ピーチクパーチク問題」。

まず、「基礎知識」篇は、
2つのステージから 構成されてまして。


● ステージ 1


上方落語愛宕山」(あたごやま)では、
京の野がけ(ハイキング)のシーンで、
ヒバリの さえづる のどかな様子を、
「チュンチュン」と やってますが。
ドラマ「ちりとて」では、
草若師匠役の渡瀬恒彦さんが、
収録段階で、
「ピーチクパーチク」と変更した
ゆうのが、ステージ1。


「ピーチクパーチク」では、
典雅な雰囲気がでません。
よって、「チュンチュン」を いじった
渡瀬恒彦アレンジは、
やり過ぎだった ゆうのが、
マメ太郎なりの プチ結論です。


● ステージ2


おととい3月6日(木)に
大阪の常打ち小屋「繁昌亭」で開かれた
サプライズ落語会にて。
草原にいさん役の桂吉弥さんが、
愛宕山」を かけはって、
そん中では、くだんの描写を
「ピーチクパーチク」と やってたという
生レポートを いただきました。


吉弥さんは、基本に忠実で、
理にかなっていない演出を 排するタイプと
お見受けいたしております(たぶん)。
その吉弥さんが、
本寸法(正調というか、本流というか)である
「チュンチュン」ではなく
なぜ「ピーチクパーチク」と、やったのか?
これが、2008年版「ピパ問題」(長いから つづめます)
なのです。


はてさて。
ま、マジメに考えるのも、なんだなぁと思いまして。
ここはひとつ、特別ゲストを お招きいたしました。
ロス市警から おこしいただいた あの方です。


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● 夜9時20分ごろ(繁昌亭の楽屋)


吉弥さん、きちやさ〜ん!
いやぁ、楽屋まで押しかけちゃって、すみません。
ウチのカミさんが、大ファンでね。感激だなぁ。
いま客席で、聞かせていただきましたけど、
腹の皮が よじれそうで。すごいもんですな。
あたしゃ、コロシだの強盗だのに かかわってますから、
じつに うらやましい限り。
人を笑わせる稼業ってやつに あこがれてるんです。
あのぉ、こんなこと お願い……、できないでしょうな、
いやね。
カミさんの親戚がね、イタリア系ですから、落語好きで
家に集まると、誰かれとなく、
寿限無」とか「鉄砲勇介」とか、やりだすんですな。
口ベタな あたしなんざぁ、
もう拍手するだけで 悔しくてねぇ。
そこで、みんなをビックリさせたいと思いましてね、
ひとつ落語を、教えて下さいませんか。
愛宕山」、やってみたいんですよ、
ええ
例の殺人現場に流れていたという「あたごやま」です。
いやはや、ホシは、どんな気持ちで、
あんな賑やかな1席を聴きながら、
ホトケさんを バーンと、やったんでしょうね。
その手がかりが、落語の中にあるんじゃないかと、
あたしゃ、ニラんでるんです。


● 夜10時13分ごろ(なにわテレビの食堂にて)


吉弥さ〜ん。
いやぁ、奇遇だなぁ。
あたしも ちょっとヤボ用で 来たんですがね。
おかげさまで、「愛宕山」、
先だって、親戚の前でやったら、拍手喝采あびまして。
ありがとうござんす。
おっと、グラスがさみしくなってますねぇ、こりゃ、失礼。
死んだオフクロから、
「ワイングラスと 香典袋は カラにするな」って、
口をすっぱく いわれてましてねぇ。
このワイン、お礼に おごらせて下さい。
え?
そんなことないはずですがねぇ……、
「飲むに耐えないシロモノ」だなんて。
1964年ものの「チュンチュン」産で、
米朝ソムリエ協会の 三ツ星なんですけどねぇ。


● 夜10時37分ごろ(海岸にて)


お待ちしてましたよ、吉弥さん。
きっと、いらっしゃると思ってました。
「チュンチュン」産のワインを、海に流すと、ふんで、
張りこんでた甲斐がありました。
あなた、あの日、繁昌亭では、
「チュンチュン」と やるはずだったんだ。
でも、「ピーチクパーチク」と、
やってみたら、どんなもんだろうと、
その欲望にも 抗えなかった。
ちがいますか?
古典落語が、一言一句をおそろかにしないって、
あなたが一番良く知ってるはずだ、ハイ。
でも、本番の高座で、
師匠とは違うアレンジしてみたら、
どうなるのか。
そして、試してみたかったんじゃないですか?
このトリックを見破れる観客がいるか、どうかを。
徒然亭草原という 架空の落語家をかたってね。


● 10時41分(海岸にて)


コロンボはん。
まったく あなたって人は。
刑事にしておくのは、もったいない。
ぜぇーんぶ 疑ってかかる 観察眼
わざと へりくだった 態度
ひとの迷惑をものともせぇへん 厚顔。
いやはや、どれをとっても
一流の落語家になれる 素質を持ってまんな。
ひとつだけ、訊かせて下さい。
あなた、いつから 私が犯人だと?


● 10時43分(海岸にて)


「なにわテレビ」の食堂でね。
あなた、「チュンチュン」産のワインを
「飲むに耐えない」って、席をお立ちになったでしょう。
あれ、じつは「ピーチクパーチク」産と
すりかえてたんです。ええ。
NHKソムリエ協会のワインラックにあった
2008年の「ピーチクパーチク」産と。
お口は、合わなかったのも当然です。
入門から20年の間に、身についた
上方落語の舌ざわりは、正直だったってことですよ。
それで、あたし、ピーンときたんですよ。
さ、参りましょうか。


♪ トュリュール、トュリュール、トュリュール、ハーイ


(この物語は、すべてフィクションであり
 実在の人物・団体名・設定とは、無関係です)